ビジネス・ウィーク流の破壊的イノベーション

イノベーションの創造に関して鋭い洞察力を持つ識者の一人は、米ハーバード大学ビジネススクールのクレイトン・クリステンセン教授(Clayton Christensen)であろう。本年6月、米大手ビジネス雑誌のビジネス・ウィーク(Business Week)では、1997年にクリステンセン教授が発表したベストセラー書である「イノベーションのジレンマ 〜技術確信が巨大企業を滅ぼすとき〜(”The Innovator’s Dilemma –When New Technologies Cause Great Firms to Fail”)」で示された視点は、10年経った今でも有効であるとしている。

同書は、顧客の意見に熱心に耳を傾け、新技術への投資を積極的に行い、常に高品質の製品やサービスを提供している優良企業が、その優れた経営のために失敗を招きトップの地位を失ってしまうという逆説的な内容で、ビジネス界でも話題になった。市場を一新するほどの破壊的な技術が、市場と企業の序列を変えてしまうことを示したのである。ビジネス・ウィーク誌は、「イノベーションのジレンマ」で取り上げられたディスク・ドライブや掘削機などの技術は、今日では破壊的技術と言われてもピンと来ないだろうが、もし、同書を今書き直すとしたら過去10年間を振り返って、こんな技術を取り上げたいとしている。

トヨタのプリウス(1997年)、グーグル(1998年)、ブラックベリー(BlackBerry、米ビジネスマン愛好の携帯情報端末)(1999年)、ミニッツ・クリニック(米ドラッグストアCVSが買収したウォークイン・クリニック)(2000年)、iPod(2001年)、セカンドライフ(Second Life)(2002年)、スカイプ(Skype)(2003年)、フェイス・ブック(Facebook、米若手学生などに人気のSNS)(2004年)、ユーチューブ(YouTube)(2005年)、任天堂Wii(2006年)という10のイノベーションを現代での破壊的イノベーションとして紹介している。

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