ユーザーとネットをダイレクトに結ぶ、フィード

まず、初めに取り上げたい破壊的トレンドは、「ダイレクト(Direct)」である。これは、ユーザーがネットの中の情報と直接(ダイレクト)つながることを好み、また、ネット側もユーザーと直につながることを求めている時代の流れを表現した言葉である。

ブログやニュース系サイトなどで「RSS」、「ATOM」などと書かれた小さなボタンをご覧になったことがあるだろう。これがフィード(Feed)と呼ばれる「ダイレクト」なテクノロジーである。一般的には、フィードはサイトの更新情報を配信する技術だと解説されている。ユーザーがあちらこちらのサイトをいちいち見て回らなくても、予めフィード情報をフィード・リーダーと呼ばれるソフトウェアに登録しておけば、それらのサイトの更新情報だけを自動的にユーザーに直接届けてくれる技術である。フィード・リーダーは、コンピュータにインストールするタイプのソフトウェアもあるが、ウェブベースのフィード・リーダーやフィードを読むことのできるブラウザを使えば、世界中どこのコンピュータからでも、自分が登録したフィードによる情報だけを読むことが可能である。米国では、グーグル・リーダー(Google Reader)、ブログラインズ(Bloglines)が、フィード・リーダーとしてよく利用されている。フィードは、日本では、若手エンジニアの人たちの間ではある程度ポピュラーな技術になっているが、米国に比べると普通のビジネスマンで利用している人はまだまだ少ない。

フィードは、複数のサイトの更新情報を集めてくるというだけでなく、更新されたら直ちに配信してくれる点にも特徴がある。通常、自分が探している情報がネット上のどこにあるのか分からない場合には、文字通り「検索」することになる。グーグルにしろ、ヤフーにしろ、検索窓に検索のキーワード(クエリー)を入力して、結果を求めるのは非常に便利ではある。また、検索技術は、いくら時間が経過しても情報を探し出せ再利用できるツールであるという点では素晴らしい。しかし、自分の探している情報が検索エンジン・ロボットの巡回に見つからないとどうしようもない。特に、鮮度の高い情報は、直ぐには検索で引っ掛けることができない場合がある。しかし、一旦、フィードを登録しておきさえすれば、サイトが更新されれば直ちにユーザーのところに情報が配信される。

このフィードは、マーケティングの視点から極めて注目すべきテクノロジーである。なにせ、ユーザーが一旦フィード情報を登録すれば、ユーザーがサイトを訪問するのを待たなくとも、ユーザーに直接、鮮度の高い情報を届けることができるのである。このユーザーのロックイン効果が、「ダイレクト」のトレンドの本質であると思う。マーケッター達は、いかにしてユーザーにフィードを登録してもらおうかと躍起になるし、また、どういうフィードが、どんな人たちに、どのようにして読まれているのかという情報は喉から手が出るほど知りたい情報となる。

そこで、フィードの配信を容易にし、かつ、フィード情報のトラッキングを解析するようなプラットフォーム技術が必要となってくる。グーグルが1億ドルで買収したフィードバーナー(FeedBurner)という企業が、このようなプラットフォームを提供している。フィードバーナーは、ブログやポッドキャストの情報を、どんなフィード・リーダーでも読めるように配信するだけでなく、フィード情報を「ダイレクト」に読んでくれるユーザーの層を広げることができるテクノロジーを提供している。グーグルが、フィードバーナーを買収したことで、グーグル・アドセンス(Google Adsense)を利用しているユーザーは、これまでより以上に顧客層を広げることができると言われている。グーグルは、ユーザーに「ダイレクト」に情報を届けるフィードのテクノロジーを手中に入れたのである。

また、フィード情報を自由自在に加工して、自分なりのフィード情報を容易に生成するプラットフォーム技術も注目を浴びている。その代表格がヤフー(Yahoo)のパイプス(Pipes)である。例えば、米ニューヨークタイムス(New York Times)の記事の中で、ユーチューブ(YouTube)の映像を利用している記事だけを読みたいというユーザーが入れば、このヤフー・パイプスを利用すると簡単に自分のニーズに合致するフィードを生成することができる。ヤフー・パイプスは、あたかも、ニューヨークタイムスから配信されるフィード情報がパイプの中を通り抜ける際に、ユーチューブの映像だけを取り出すフィルターを途中に設置することで、求める情報がパイプの出口から吐き出されるような視覚的なインターフェイスになっている。

このヤフー・パイプスを使えば、ユーザーは、自分のところに流れてくる情報を自分流にカスタマイズすることが可能となる。つまり、個々のユーザー毎にお好みの情報の選択権が与えられることになる。まさに、ユーザー・エンパワーメントの時代に相応しいテクノロジーである。そして、自分向けにカスタマイズした情報の流れを一旦生成してしまえば、そのユーザーは、自分のプリファレンスにぴったりの情報にロックインされ、他の情報にあまり目を向けなくなってしまう。フィードは、マーケッター達からすれば、脅威でもあり、チャンスでもあるテクノロジーである。

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