「クラウドソーシング」の典型技術ウィキ

「潤沢経済」下のいわゆるWeb2.0的企業は、他人任せのビジネスモデルだと述べた。他人任せと言えば、アウトソーシングという言葉が思いつくが、これは、外部の2〜3の組織や企業や個人からソフトウェアやサービスを調達することを指す。しかし、「潤沢経済」下では、豊富なITインフラを生かしてより多くの人の知恵や知識を活用することが可能になる。ジェームズ・スロウィッキー(James Surowiecki)の「みんなの意見は案外正しい」という本でも指摘されているように「群衆の知恵」を使うことでよりよいサービスを提供することができるのである。大衆から知識や知恵を調達するという意味で、これを「クラウドソーシング(Crowdsourcing)」と呼ぶ。あるサービス提供者が大衆から知恵を借りる場合もあるし、あるサービスのプラットフォームを利用することで、個々のユーザーが大衆から知恵を拝借することもできる。そういうソーシャルな面も含めて、ここでは「クラウドソーシング」としたい。

「クラウドソーシング」の代表格はウィキ(Wiki)である。ウィキとは、ハワイ語で「速い」という意味を持つ。ソフトウェアのアジャイル開発(迅速かつ適応的にソフトウェアを開発する手法)で有名なウォード・カニンガム氏が発明した技術で、ウェブ・サーバー上のページの迅速な作成・更新を可能とするものである。ウィキ技術を使えば、誰でも、ネットワーク上のどこからでも情報の書き換えができるようになっているので、共同作業に向いており、コラボレーション・ツールとも言われている。ウィキ技術の代表的なものがウィキペデイア(Wikipedia)だ。ウィキ(Wiki)+エンサイクロペディア(encyclopedia)という名前の由来を持つ。いわゆる集合知(The Wisdom of Crowds)により常に進化しつづけるオンライン百科事典である。現在、200カ国語以上の言語で提供されており、700万以上の項目がある。掲載されている情報の信頼性によりトラブルが生じる場合もあるが、英ネイチャー誌によれば、1項目当たりの誤りの数は、ブリタニカ百科事典と大差ないという調査結果も報告されている。

ウィキを利用した「クラウドソーシング」は辞書に止まらない。ウィキペデイアを運営するウィキメディア財団を率いるジミー・ウェールズは、ウィキア(Wikia)という企業を設立し、広告収入を基にして、映画、政治的な意見、旅行など幅広いテーマごとに1500以上ものコミュニティ・サイトを運営している。また、他のスタートアップ企業の例としては、自動車に関して広く中立的な情報を集めたサイト(Wikicars)や、商品に関するユーザー評価を集約したショッピング検索エンジン(Shopwiki)などがあるが、ビジネスモデルとしては必ずしも盤石とはいえない状況にある。

いずれにしても、ウィキは「クラウドソーシング」の典型例だ。

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