中抜きの破壊力「マーケットプレイス」

ITは見知らぬ人との交流を可能にする。それは同じ興味を持つ友人とのネットワーキングなどソーシャルな面だけでなく、ビジネス利用としても多くの企業や人の中から、自分が探している企業や人とのマッチングをはかる「マーケットプレイス」を設営することも可能だ。身近な例ではオークションサイトが思いつく。世界中のユーザーに「クラウドソーシング」することで、不要なものの処分や、入手困難なレアモノの獲得が容易になった。

ITを利用して「マーケットプレイス」を設置するということの本質は、これまでマッチング自体を生業としてきた人たちを中抜きするということだ。例えば、現実世界では、金の貸し借りは金融機関が介在することで行われているが、潤沢なIT環境の下では、金を借りたい人と貸したい人とのマッチングをはかることは容易である。

米サンフランシスコにあるプロスパー(Prosper)は、金を借りたい人と貸したい人との間の「マーケットプレイス」である。ロンドンのゾーパ(Zopa)と似たサービスであるが、プロスパーの方が急成長中である。ユーザー数は33万人以上、貸付総額は7千万ドルを超える。プロスパーでは、金を借りたい人は、希望金額、最大支払い可能な利息を始めとして、何に資金を必要としているのか、自分の夢や希望又はビジネスプランを明記する。結婚指輪が買いたい、引っ越しをしたい、ブティックを開業したいなど、その内容は様々だ。金を貸す用意のある人は、希望の金利と、融資可能な金額(50米ドル以上25000米ドル以下)を入力する。互いに必要な情報を登録した後、プロスパーのオークションシステムにより、最も低い金利で提示した貸し手から順に融資を実行することになる。

プロスパーのビジネスモデルは、借り手、貸し手双方からの手数料である。借りからは、賃借契約成立時点で、1%又は2%の手数料を徴収する。貸し手からは、年率0.5%又は1%分の手数料を徴収する。

他にも、ビジネスの中抜きを迫る「マーケットプレイス」として今後成長が予想されるのが広告の仲介である。インターネット上の広告モデルであるアドセンス(Adsence)、アドワーズ(Adwords)で莫大な収益を得ているグーグルは、ディスプレイ広告(バナー広告)、動画広告、携帯電話向け広告などにも注力し、オンライン広告市場での立場を確固たるものにするだけでなく、従来メディアの広告仲介業にも本格参入しつつある。

2006年11月に、グーグルはインターネット経由で新聞広告スペースの販売を行うグーグル・プリント・アズ(Google Print Ads)を試験的に参入した。全米50誌の新聞広告枠を、グーグルのシステムを通じて広告主100社に対して販売した。広告主は、アドワーズのインターフェイスを通じて、全国紙・地方紙いずれの新聞広告枠も購入できる。広告を掲載したい新聞を選んで入札し、広告デザインをアップロードすると、新聞社が入札額やデザインを見た上で採用・不採用の決定を行う。2007年7月にグーグルはこの広告枠の販売対象誌を225誌以上に拡大し、合計3000万部をカバーするまでに拡大している。ニューヨークタイムス(New York Times)やワシントンポスト(Washington Post)も参加している。

グーグルは、ラジオ広告スペースについても同様のシステムを導入している。ラジオ向けの広告配信を手がけていたディーマーク・ブロードキャスティング(dMarc Broadcasting)を1.2億ドルで買収しており、この技術を基に、2007年6月にグーグル・オーディオ・アズ(Google Audio Ads)を正式に開始した。

広告分野の「マーケットプレイス」は、広告代理店にとっては脅威であろう。透明性、公正さ、低コストなど、時代のニーズはITを駆使した「マーケットプレイス」を支持する方向にある。ITが持つ破壊的な力に備える必要がある。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。