Everything as a Service

米調査会社ガートナーのアナリストを経て、プライス・ウォーターハウス・クーパーズ(PWC,現IBM)の幹部であったヴィニー・マーチャンダニ(Vinnie Mirchandani)は、コンピューティング能力やストレージ・キャパシティなど、ハードウェアをサービスとして利用する形態を、ハードウェア・アズ・ア・サービス(Hardware as a Service: HaaS)と呼んだ。

”IT Doesn’t Matter.(ITはもはや戦略的価値を持たない)”の記事で有名なニコラス・カー(Nicholas Carr)も、「今やHaaSの時代である」と持ち上げ、その例として米セントルイスにあるサヴィス(Savvis)の仮想化ITユーティリティ・サービス・プラットフォームを自身のブログで取り上げている。このサービスは、従来のホスティングサービスとは異なり、仮想的に構築されたシステムによってコンピュータリソースを提供するものであり、1ユーザーに対して占有のブレードサーバーを提供するものである。ネットワーク環境に関してはノーテル・ネットワーク(Nortel Network)のシャスタ(Shasta)を、セキュリティサービスについてはインクラ・ネットワークス(Inkra Networks)のインクラシリーズを利用し、イージェネラ(Egenera)のブレードサーバーと3Par のヴァーチャルストレージシステムを、必要なときに必要な分だけ切り出して貸し出している。

ニコラス・カーは、同社のサービス利用者の事例として、2006年3月に米連邦選挙管理委員会が、今後5年間サヴィスのHaaSサービスを利用する契約をしたことを取り上げている。選挙管理システムは、選挙が行われるときにピークになる特質を持つため、ピーク時に必要な能力を基準にしてIT投資をすると無駄になってしまう。だからサヴィスのHaaSが最適なのである。

今や、ソフトウェアもハードウェアも全てサービスとして外部からその都度購入する時代になったのだ。いわば、エヴリシング・アズ・ア・サービス(Everything as a Service)の時代なのである。

このように米国でのウェブサービス提供ビジネスの成長ぶりを見るにつけ、日米の企業行動の違いをあらためて感じさせる。ウェブ上でのサービス提供ビジネスの本質は、自社のコア技術でない部分については、他社からサービスという形でその都度買ってくればいいというものである。米国のIT企業を訪問すると、いつもプレゼンの中に出てくるエコシステム(Ecosystem)というキーワードがある。大抵、プレゼン資料の中央に自社のロゴがあり、それを取り巻く形で多数のパートナー企業のロゴがある。この企業群をエコシステムと呼んでいる。エコシステムに明確な定義はないが、各企業のコア技術を持ち寄って、ベストなソリューションを提供することで、各企業ともにWin-Winな関係でありたい、というような意味で使用されていることが多い。

いつまでも自前主義に拘って、ノンコア技術を持ち続けていても、企業の成長にとってはむしろマイナスで、投資家達も評価しないという訳である。方や、日本の企業の中には、依然としてフルセット主義に拘り続けている企業も見受けられるようであるが、いかがだろうか。このようなアンチ自前主義は、ウェブ上でのサービスを提供する技術が進化し、SOAP(Simple Object Access Protocol)などの標準化が進展したので可能になった面がある。ノンコア技術であれば、必要なときにペイ・アズ・ユー・ゴー(pay-as-you-go)で他社から購入すればよく、コア技術に人的、金銭的な投資を集中投入することが可能になる。いわゆるウェブ2.0の代表的なテクノロジーとして取り上げられるマッシュアップ(Mash up)も、他社のウェブ上のサービスを公開されたAPIを通して利用するという他社依存型の考えに立脚している。「ウェブ・オリエンテッド」なトレンドは、エコシステムを形成するのである。

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