開発競争が激しいWebOS

ウィンドウズ・マシンにしろ、マッキントッシュにしろ、リッチなユーザーインターフェイスや高速かつ効率的なファイル管理など、ユーザーにはますます潤沢なIT環境が与えられるようになった。この環境を支えているのが、ウィンドウズ・ビスタやMacOSXなどのOS(オペレーティング・システム)である。OSはコンピュータの基幹であり、マイクロソフトにしろ、アップルにしろ、次期OSにどんな機能を搭載するかで熾烈な競争をしている。

「ウェブ・オリエンテッド」のトレンドは、ユーザー側のコンピュータ能力をどんどん無力化し、ネットワーク上で処理してしまう。OSが担っていた役割もネットワーク上で行うことができるようにしようというのが、ウェブOS(WebOS)である。ウェブOSは、コンピュータを昔のダム端末(メインフレーム・コンピュータから送られた文字列を表示するだけの機能しかない端末)のようにしてしまうテクノロジーだ。

ウェブOSという言葉は、コンピュータサイエンスの名門である米UCバークレー校で1996年に開始された研究プロジェクトの名前に由来するという。ウェブOSの研究はその後、米デューク大学などで継承されていた。そして、ようやく最近になって次々と実用レベルに耐えうるウェブOSが発表された。興味深いことに欧州発のものが目立っている。

ウェブOS開発競争の最前線に位置しているのが、スペインはバルセロナ発のアイOS(eyeOS)である。実際にアイOSを使ってみると、ウィンドウの拡大・縮小、ファイルの移動など極めてスムーズに動作しており、ブラウザだけで使用しているとは思えないほど快適である。アイOSはオープンソース・ソフトウェア(OSS)であり、アイOSの30カ国以上の言語への翻訳、テスト、バグレポート、アプリケーション開発などを引き受けてくれるエンジニアを広く求めている。無料のアイOSは、ネット上での寄付で賄われている。同社はOSSの強みを生かし、コミュニティからの声を開発内容に反映させる戦略をとっているが、OSSであるが故の悩みもある。フランス発のウェブOSであるマイブー(mybooo)が、アイOSの0.9.x版のソースコードを利用して自分達のウェブOSを開発し、それをプロプラエタリ(オープンでない)なソフトウェアとしてリリースしていると非難している。

アイOSに次ぐ位置にあるものとして、米国マサチューセッツ工科大学のコンピュータサイエンス学科の卒業生が中心になって開発したユーOS(YouOS)や、イギリスの大手ISP(インターネット・サービス・プロバイダ)であるメトロネット(MetroNet)の開発チームがリリースしたデスクトップ・オンデマンド(DesktopOnDemand)が挙げられる。また、ウィジェットについて述べた際に紹介したユアーミニズ(yourminis)を開発しているサンディエゴのグーウィ・メディア(goowy media)が開発しているグーウィ・ウェブトップ(goowy webtop)もある。このようにウェブOSを巡る開発競争は激化している。

そして、ウェブOS界に、米国で急成長中のSNSであるフェイスブック(Facebook)も乗り出してきた。2007年7月に、同社は、ファイアーフォックス(Firefox)の共同創業者であるブレイク・ロス(Blake Ross)とジョー・ヒューイット(Joe Hewitt)が設立した未公開のウェブOSを開発しているパレイキー(Parakey)を買収した。このパレイキーのウェブOSは未だベールに包まれているので詳細は不明であるが、オンライン上のコンテンツとオフラインのPC上のコンテンツを同期することができるという。フェイスブックはウィジェットのプラットフォームとなるだけでなく、オンラインとオフラインを繋ぐOSまで手に入れた。「フェイスブックOS」が次世代のプラットフォームとして一手を打つことになるのか。

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