オンラインとオフラインのはざまで

「ウェブ・オリエンテッド」とは、全てのサービスがオンラインベースになることを意味しているのだろうか。全てがオンライン環境になることで逆に不便なことも発生するだろう。実際、私自身、通信環境がないところで、ウェブ・メール、オンライン・カレンダー、ウェブ・オフィス・スイートが使えずに困った経験をした。航空機の中など一時的にオフラインになる場合に、それまでオンラインでやりとりしていたデータが全て消え、一からやり直しになるのは本当に困る。

そこで、オンラインとオフラインのはざまをシームレスにしようとする試みがいくつか登場している。トレンドの一つ「ダイレクト」のところで紹介したが、アドビ・システムズ(Adobe Systems)が研究中のエアー(AIR: Adobe Integrated Runtime)と呼ばれるRIA(リッチ・インタラクティブ・アプリケーション)を作成できるクロス・オペレーティングシステム・ランタイム(cross-operating system runtime)がその一つである。

オンライン・サービスの代表格であるグーグルも、2007年5月にグーグル・ギアス(Google Gears)というオープンソースのブラウザ拡張機能(IE又はFirefoxで作動)をベータ版で発表した。これは、JavaScriptのAPI(アプリケーション・プログラム・インターフェイス)を利用して、ウェブ・アプリケーションにオフライン機能を提供するものである。例えば、グーグル・ギアスをダウンロードした後、グーグルのRSSリーダーであるグーグル・リーダー(Google Reader)にアクセスすると、データのダウンロードが可能となり、ローカルなデータにアクセスすることでオフライン環境でもグーグル・リーダーを利用することができる。今はグーグル・リーダーのみ対応可能とされているが、今後、Gメールやグーグル・ドックス・アンド・スプレッドシートがグーグル・ギアスに対応するようになると、オンライン・オフラインのシームレス化のメリットを感じるユーザーが増えるだろう。

マイクロソフトもポップフライのところで紹介したRIAを実現するクロス・プラットフォームであるシルバーライト(Silverlight)をオフライン環境でも利用できるようにする計画をもっているようだ。

このようにオンラインとオフラインのはざまをシームレスにするプラットフォーム開発競争が進んでいる。SaaSのところでも紹介したが、マイクロソフトは、「No Software」を標榜するセールスフォースに対抗して、Software Plus Service戦略を打ち出した。まだ、同社の戦略の詳細は明らかになっていないが、グーグルですらオフライン環境を意識しているということは、ソフトウェア全てがサービス化するという極端な考え方があまり現実的でないという見方ともとれる。大きなトレンドとしては、「ウェブ・オリエンテッド」な方向に時代は変化していることは間違いないが、ウェブベースに総置き換えとなる時代がすぐに来るという訳ではないのかもしれない。

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