仮想世界と現実世界を結ぶRMT

仮想世界と現実世界のつながりを感じさせるのは、仮想通貨と現実通貨の交換(RMT:リアル・マネー・トレーディング)である。例えば、MMORPG(多人数同時参加型オンラインRPG)の場合、 コツコツとゲームをプレイする時間がないユーザーは、 武器を購入するための仮想通貨やなかなか手に入らない希少アイテムを、手っ取り早く現実の金を払って手に入れたいと思う。一方で、ゲームに飽きたので、今まで貯めた仮想通貨や希少アイテムを処分したいと思うユーザーもいる。そこで、ネットオークションでRMTを行ったり、RMTを仲介する専門業者が現れ、仮想世界と現実世界をつなぐサービスが生まれるわけである。例えば、世界最大級の仮想通貨・希少アイテム売買サイトであるige.comが有名である。

現在の全世界のRMT市場規模は約20億ドルであり、2009年までに約70億ドルにまで成長するという見方もある。

しかし、仮想通貨の取得を巡っては、RMTで取引を仄めかしながらも約束を守らず詐欺行為をしたり、MMORPGの運営会社の社員が悪事を働くケースも出てきた。日本では、2006年7月にファンタジー系MMORPGのラグナロク・オンラインを運営するガンホー・オンライン・エンターテイメントの社員が、不正にサーバにアクセスして仮想通貨のゼニー(Zeny)を勝手に複製・売却し、多額の利益を得ていたという事件が起こった(逮捕された理由は、RMT行為ではなく不正アクセス)。
中国最大のMMORPG運営会社であるシャンダ・インタラクティブ・エンターテインメント(Shanda Interactive Entertainment)でも同様の事件があった。仮想通貨を勝手に作成し、約26万ドルの利益を得ていた同社幹部らに対して、2007年3月に横領の罪で最高5年などの刑が言い渡された。

また、犯罪ではないが、RMTを巡っては、長時間ゲームをプレイして仮想通貨を稼ぐことを生業とする人たちや、海外からアクセスしてオンラインにより出稼ぎ的行為を行う「ゴールド・ファーマー(Gold Farmer)」と呼ばれる組織化された集団が現われたりしている。米ニューヨークタイムスは、中国の南京のような地方に住む若者達は、今や割の合わない農作業はせずに、24時間2交代制でワールド・オブ・ウォークラフト(WoW)を長時間プレイして仮想通貨を稼ぎ、RMTで現金化する姿を報道している。

今では、ほとんどのMMORPGがその利用規約(Terms of Service)においてRMT行為を禁止したり、あるいは「仮想通貨自体に過度な価値を与えない」「一定レベルのアイテムになると他人に譲渡できない仕組みにする」などの設計上の工夫をしたりしている。また、米イーベイ(eBay)は、2007年1月にMMORPGのアイテムなどの取り扱いを禁止した。しかし、MMORPGやオークションサイトの外でRMT市場がある限りは、RMT行為がなくなることはない。日本をはじめとするほとんどの国では、RMT自体を法的に禁止していないからだ。

しかし、RMT市場の規模が大きくなってきた中国や韓国では、RMTに対して厳しい措置がとられつつある。
中国の2006年のRMT市場規模は約9億ドルにも上り、そのうち45%がQQコインによるものだと言われている。QQコインは当初、QQ.comの中だけで通用する仮想通貨であったが、2006年にQQ.comを運営するテンセントとは別のオンライン・ゲーム会社がQQコインを支払い手段として採用したことにより、QQコインでCDや化粧品を購入できるサイトが出現したり、オンライン麻雀で儲けた分をQQコインで受け取ることで賭博禁止の法律を迂回するギャンブラーが現れたり、さらには人民元とQQコインとの交換を行うRMTサイトも多数登場した。必ずしも所得が高くない地方在住の人たちの目には、QQコインのRMTは非常に魅力的なビジネスに映った訳だ。

事態を重く見始めた中国政府(文化部など14の省庁)は、中国人民銀行とともに、2007年2月に共同声明を発表し、中国人民銀行がRMTを今後厳しく取り締まっていくことを表明するという事態になった。これを受けたテンセントは、ユーザー間でのQQコインのやり取りを制限するなどの対策をとることになった。

2006年のRMT市場規模が約8,300億〜9,000億ウォンと言われている韓国では、ゲーム産業振興法の改正により、2007年5月からRMTに対して厳しい措置がとられることになった。法律により対応することになった背景には、「海物語」というパチンコ台の改造版が賭博好きな人の射幸心(当たりを願う気持ち)をいたずらに煽ったことが殺人傷害事件などの社会問題となり、ゲーム自体に対する大衆が抱くイメージが悪化したことがある。
この法律は、具体的には、不正な手段によって取得した仮想通貨やアイテムを現金と交換したり、交換を斡旋したりする行為が規制の対象になっている。これには、個人というよりも、正常ではない方法(例えば、不正にコピーする自動プログラムであるボットの利用)で仮想通貨を生産することを生業としている者を取り締まりたいという意図があるようだ。

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