IBMのInnov8が示す仮想世界利用の可能性

IBMは、セカンドライフなどの仮想世界に強くコミットしている企業の一つである。シアーズ(Sears)やサーキット・シティ(Circuit City)のような量販店と提携するに止まらず、独自のSIM(セカンドライフ内の島の単位)を持ち、サミュエル・パルミザーノ(Samuel Palmisano)会長自らのアバターも活躍している。

2007年7月には、セカンドライフを始めとする仮想世界で活動することを業務としている5000名以上のIBMの従業員に対して、仮想世界での行動規範(Virtual Worlds Guidelines 2007)を示したほどだ。

そして、IBMは、仮想世界を教育、研修用のツールとしても捉え、新たな利用方法の開発に取り組んでいる。2007年5月21日に、IBMは米フロリダ州オーランドにおいて同社の顧客やパートナー向けにSOA(Service Oriented Architecture、サービス指向アーキテクチャ)の発展をテーマにしたカンファレンス「インパクト2007(IMPACT2007)」を開催した。この場で、IBMは、ゲーム感覚で仮想世界の技術を教育・研修に活用する実証的な例として「イノベイト(Innov8)」を紹介し、話題を呼んでいる。

IBMは、56%の顧客がSOAの実行を妨げる最大の要素がSOA技術者のスキル不足であるとしている調査結果を踏まえ、ビジネスを横断的に理解し、かつ深い技術的な知識を持っているT字型人間を育成することが必要であると認識している。そこで、仮想世界を利用して、遊びのルック&フィールを兼ね備えたSOAの新たな教育の形として、対話型のSOAゲームである「イノベイト」を開発した(2007年9月公開予定)。

「イノベイト」のプレーヤーは、SOAが如何にして企業の組織に影響を与えるものであるかを、ジョイスティックの簡単な操作だけで自分の目で確かめることができる。また、社内でのSOAへの理解を深め、経営陣と企業内のIT部門とのギャップを埋めようとするものである。「イノベイト」の開発には、デューク大学とノースカロライナ大学の大学院生が共同開発し、年に一度の「IBM SOA事例研究コンテスト」で発表されたという背景がある。

IBMが「インパクト2007」で披露した「イノベイト」のデモは、コールセンターが舞台である。主人公は社内のさまざまな社員との会話や、社内に設置してあるホワイトボートに書かれた図などを頼りに、コールセンターの業務プロセスを可視化し、そこから問題を見つけて、あるべき業務プロセスをモデリングするという内容だ。つまり、SOAゲームと言っても、厳密にはBPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)を理解させるためのツールである。

日本のビジネス界では、セカンドライフへの進出は、企業ブランド価値の向上や商品PRなどの即物的な意味で捉えられがちであるが、IBMの取り組みは、仮想世界が持つもっと大きな可能性を示してくれる。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。