3Dプリンターで仮想世界を現実のものに

仮想世界と現実世界の橋渡しは、仮想通貨と現実通貨の交換だけではない。仮想世界のアバターと、現実世界の人や人形などとをリアルな形で変換するサービスもある。先に紹介したウェブキンズ(webkinz)も、自分の買ったぬいぐるみを仮想世界のアバターに置き換えて遊ぶことができる。

エンターテイメント分野であるが、ファブジェクトリー(Fabjectory)が提供しているサービスはユニークである。任天堂Wiiのゲーム内で利用する自分専用のアバターMiiのキャラクターやセカンドライフ内のアバターを現実世界の人形にして提供している。Mii
人形の場合は、3インチのもので50ドル、5インチのもので100ドル。セカンドライフのアバターはやや形が込み入っているので、複雑さに応じて1体99から200ドルで販売している。自分の気に入ったアバターを人形にして手元に置きたいというユーザーには魅力的であろう。

最近、ネット系企業の社員の間では、ロンドン発のMOOミニカード(100枚で19.99ドル)と呼ばれる小さな縦長の名刺が人気を博している。ミニカードの裏には、セカンドライフやハボ(Habbo)の自分のアバターやフリッカー(Flickr)の写真などを印刷することができる。セカンドライフの中ではアバターに実際に触れることはできないが、名刺にすれば現実世界で身近なものになるので、MOOのミニカードを作りたいというユーザー心理が働くのだろう。同じ意味で、アバターを現実世界の人形にして身近に飾りたいというユーザー心理も理解できる。

ファブジェクトリーが人形製作に利用しているのは、米Zコーポレーション(Z Corporation)の3Dプリンターである。コンピュータ上の設計データを入力すれば、かなり複雑な立体構造物であっても、1-4時間ほどで出力することができる。設計データを遠隔地に送れば、3Dファクスとしても利用できる。

3Dプリンターの原理はこうだ。まず、プラスチック・パウダーと接着剤をプリンターヘッドに添加し、立体構造物の断面の形状に合わせて、紫外線又はレーザー光を液体樹脂の中で照射し、100分の3インチほどの薄いプラスチックの膜を形成する。その膜を移動式プレートの上に置いて、また同様のプロセスで膜を形成する。どんどん薄い膜を重ね合わせていき、立体構造物をプリントするのである。フルカラーで着色することも可能だ。

この3Dプリンターの代表的メーカーは、3Dシステムズ(3D Systems)、ストラタシス(Stratasys)と米企業が占める。以前は1台10万ドル以上もの高価格であったが、最近では1万5千ドル程度までに下がってきた。数年後には、小規模な会社にも街角のコピーセンターにも3Dプリンターが設置されるのではないかと期待される。

実際に、米デスクトップ・ファクトリー(Desktop Factory)は、2007年中に4,995ドルの3Dプリンターを発売するという。同社の会長であるビル・グロス(Bill Gross)は、ハロゲンランプを用いてナイロン粉を溶かすようにすれば、4年後には1000ドル近くにまで価格を下げられるという。老舗の3Dシステムズも低価格戦争に挑み、本年中に9,900ドルの商品を販売し、3〜5年以内には2,000ドル以下にまでしたいという。

今では、オフィスの部屋毎に一台のカラープリンターが置かれ、家庭でもプリンターで写真を印刷する時代だ。DTP(デスクトップパブリッシング)という言葉も今では耳にしなくなったが、まもなく、デスクトップ3Dパブリッシングが仮想と現実をつなぐ身近なテクノロジーになるだろう。

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