開発競争が進むIPTVアプリケーション

PCの操作に慣れた人だけでなく、TVの視聴が主である人にまで、インターネットTV(IPTV)をポピュラーなものにするためには、体感にすぐれたIPTVアプリケーションが不可欠だ。最近になって、TVの操作に極めて近いインターフェイスを持ち、オンデマンドなど、TVにはない機能を提供するIPTVアプリケーションが次々に台頭し、熾烈な開発競争が起きている。

まずは、VoIP(インターネット電話)で有名なスカイプやP2Pテクノロジーの老舗のカザー(Kazaa)の創業者であるニコラス・センストロム(Niklas Zennstorm) とヤヌス・フリス(Janus Friis)が立ち上げたジュースト(Joost)がアドバンテージを取っている(コードネーム:ベニス・プロジェクト(Venice Project))。ジューストは、PC上でTVのような操作感を持つP2P技術を利用したアプリケーションであり、無料で著作権で保護されたコンテンツを視聴できる。もちろんケーブルTVのSTB(セットトップボックス)は不要だ。配信するコンテンツは、DRM(著作権保護技術)を組み込んでいるので、MTV、コメディセントラル(Comedy Central)、CNN、ソニーピクチャーズ、CBS、ナショナル・ジオグラフィック(National Geographic)などの大手配信企業が供給している。ジューストのアプリケーションにはSNS的要素もあり、チャンネル毎のチャットルーム、IM(インスタトメッセンジャー)、RSSベースのニュース・ティッカーなどのウィジェット(Widget)をアプリケーションの中に組み込んでいる。画質には改善の余地があるが、インターフェイスの出来具合と、コンテンツ配給企業との協力関係が素晴らしい。

ジューストの対抗馬として話題になっているのは、イタリアの大富豪シルヴィオ・スカーリャ(Silvio Scaglia)が創業したバベルガム(Babelgum)である。バベルガムもP2P技術を利用し、ジューストのようなTV的使用感を提供しているが、配信されるコンテンツはジュースと提携しているような大手企業ではない。どちらかと言えば、ニッチなコンテンツをニッチな視聴者向けに提供することを目指している。その意味では、ロングテールなIPTVだ。

そして、ジューストやバブルガムとも異なる路線を行くのがベオTV(VeohTV)である。ベオTVは、ライセンス契約で制約されることなしに、NBC、CBS、FOX、ユーチューブ、マイスペースなどから動画を引いて(pull)いる。また、ベオ(Veoh)の独自の動画共有サイトの映像も利用している。さらに、ベオTVは、ジューストと異なり、どんなDRMフリーの動画でもファイル形式によらずダウンロード・保存を可能にしているオープン路線を売りにしている。

ザトゥー(Zatto)は、オンデマンドでないが、P2P技術を利用して、PC上でリアルタイムの地上波或いはケーブルTVの番組を流してくれる。CNN、BBC、CNBCなどの番組をPC上で流しながら、IM、ウェブサーフィン、メールなどの操作ができる。現在は、ベータ版で無料であるが、将来は無料のベーシック版と有料のプレミアム版が設けられる予定である。広告はプリロール方式をとっている。残念ながら、プロキシサーバーで迂回でもしない限り、現在日本からのアクセスはできない。

そして、今話題になっているIPTVアプリケーションが、ユーチューブ・キラーという謳い文句で登場したフル(Hulu)である。フルは、NBCユニバーサルとニューズコーポレーション(News Corporation)が共同で立ち上げつつあるサイトであり、10月にプライベート・ベータ版を提供するようで、現在、招待用アカウントの申請を受け付けている。まだ、その実力は未知数だ。

このように競争が激化しているIPTVアプリケーション分野にPCメーカーも参入してきた。2007年9月、HPは、同社が今後発売する一部のノートパソコンに、IPTVプロバイダーのデーヴ・ネットワークス(Dave Networks)が開発したアプリケーションをNext.tvというブランドで搭載すると発表した。合計50チャンネルのコンテンツを提供するという。

日本では、はてながサービスしているリモ(Rimo)の出来が素晴らしい。PCだけでなく、Wiiブラウザにも対応しており、TVのように「ダラ見」ができる非常に使いやすいインターフェイスである。動画へのコメントや、ブログ及びトゥイッター(Twitter)への投稿などソーシャルな機能も兼ね備えている。コンテンツは、先に紹介したIPTVアプリケーションと異なり、ユーチューブの人気動画である。英語版でもリリースされ、先に紹介した海外のIPTVと互角またはそれ以上の出来映えであるので、日本の著作権保護されたコンテンツの輸出戦略と協調していない点が非常に残念だ。

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