ユーザーに優しい人力検索

検索技術に長けている人は、精度の高い検索結果を得るためにどのようにディレクトリーを辿ればよいか、どんな検査キーワード(クエリー)を入力すればいいか、どんな検索テクニックを使えばよいかを知っているが、普通のユーザーはそうはいかない。では、もっと人間の要求をシステム側が正しく理解できるように、パワーセット(Powerset)のように自然言語で検索したり、ハキア(Hakia)のようにセマンティック(意味解析)な検索をしたりすることができるようになればよいが、実際、本格利用までにはまだまだ時間がかかりそうだ。ならば、人手を使ってユーザーの検索行為を手助けしようという発想が、「人力検索」である。

日本の場合、人力検索の老舗は「はてな」であるが、「マンションの隣人の女性が深夜に洗濯をして困っているが、でもその女性のことを気に入っているので交際を申し込みたいけれど、どうしたらよいか」といった悩み相談や、「どうして本や雑誌は定価販売しかないのか」といった世の中の疑問を問うような質問をし、ユーザーがあれこれ答えるというスタイルになっている。ユーザーが質問し、他のユーザーがそれに答えるという意味では、いわゆるウェブ2.0的性格をもっていると言えようが、通常、グーグルで検索するような事柄の人力検索としては利用されていない。

米インディアナポリスに拠点のあるチャチャ(ChaCha)は、「検索+人力(Search + Brainpower)」を標榜している検索サイトである。チャチャの検索窓にキーワードを入力すると、他の検索エンジンと同様に結果を一覧表示するが、その上段に、「お手伝いが必要ですか?ガイドと一緒に検索しますか?(Need help? Search with a Guide)」と表示される。「Search with Guide」のボタンをクリックすると、画面左側にガイド・セッションの欄が現れ、チャチャのガイドが「Hello. How may I help you?」とチャットで語りかけてくる。自分の探したい事柄をガイドにチャットで伝えれば、次から次へと検索結果に導いてくれる。まさしく「人力検索」である。365日、24時間いつでもガイドと話をすることができる。このガイドはロボットではなく、時給5から10ドルで雇われた本物の人間であり、チャチャはウェブサイト上でガイドになりたい人の申請を受け付けている。現在、3万人ものガイドを抱えているという。

チャチャのビジネスモデルはまだ確立していないように見受けられるが、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)が同社の出資に関わっている。アマゾンは、数年前からアマゾン・メカニカル・ターク(Amazon Mechanical Turk)という、コンピュータが苦手な作業を人力で解決するサービスを展開しており(例えば、会社の倉庫に似合う看板はどれかを選択するような仕事)、人力に早くから注目していた。今後、アマゾン上での商品検索のガイドとして人力導入を検討しているのかは分からないが、その可能性に注目していることは確かだ。

次に、人力検索エンジンを標榜しているマハロ(Mahalo)を紹介したい。マハロは、予め1万ほどの検索キーワード(クエリー)に対応した検索結果ページを人力で作成している。

マハロのトップページには、ファッション、セレブのゴシップ、トラベルなど、多くのユーザーが興味を示そうなディレクトリーが並んでいる。これらのディレクトリーから階層を辿ってもいいし、検索窓にキーワードを入力してもいいが、特長的なのは、検索結果のトップに人力で予め検索した7つの検索結果(The Mahalo Top 7)が表示されることだ。マハロを使えば、グーグルなどの検索エンジンで欲しい結果が得られるまでの時間を節約することができるというのが売りである。また、マハロで検索すると、使えるリンク集が同時に表示され、これらのリンクもグーグルで探すのは容易ではないとしている。マハロは、「情報を探す時間の分だけ、コンテンツを楽しむ時間に充てて欲しい」とユーザーに訴えている。

マハロは、人力で膨大な百科事典のような情報源を予め製作しておき、検索キーワードに対応したコンテンツを表示する。いわば、ウィキペディア(Wikipedia)とグーグルとを統合したようなモデルになっている。マハロは、2008年までに25,000のクエリーに対応したいとしている。

最後に紹介したいのは、人力で検索結果の上位表示を変更するスプローズ(Sproose)である。検索キーワードを入力すると、ユーザーが適切な検索結果であると投票した数の最も多い検索結果ほど、上位に表示される。また、投票した他のユーザーの投票履歴などを見ることもでき、ユーザー間のソーシャルな関係も構築できる。いわば、ディグ(Digg)の特徴を検索サイトに応用した例である。

これから検索サービスを利用するユーザーの裾野は広がるばかり。あまり高度な検索手法に慣れていない多くのユーザー層には、人力検索は欠かせないサービスになりそうである。

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