クラスター検索でユーザーフレンドリー

従来の検索エンジンでは、検索キーワード(クエリー)を入力すると、キーワードに合致する膨大な結果が、その内容を整理することなく一覧表示される。もちろん、リンクの度合いが高いサイトなど、重要なサイトほど上位に表示されはするが、例えば、私の名前「渡辺弘美」でググって(グーグル検索して)みると、私本人に関する情報も多く表示されるが、私と同姓同名の方(名前からして女性が多い)の情報も混在した形で表示されてしまう。

このような情報の洪水問題を解決するために検索エンジン自体を改良するというアプローチもあるが、クラスター検索というアプローチで解決する方法もある。クラスター検索とは、複数の検索エンジンを利用して検索結果を得た後、検索結果の内容を分類整理し、概念や情報の内容が同じものをクラスターと呼ばれるカテゴリーにまとめて見せる手法である。画面の右側に通常の検索結果が表示され、左側にクラスターが表示される。クラスター自体をクリックすると、そのクラスターに分類された検索結果が表示される。私の名前で検索すると、私自身に関わる検索結果と、私と同姓同名の方の検索結果が分かれて表示される。

クラスター検索の代表格は、2000年に米カーネギーメロン大学の人工知能や言語学の3名の研究者で設立された米ペンシルバニアにあるビビジモ(Vivisimo)である。ビビジモは、自動的に情報を分類・整理する独自のテクノロジー であるヴェロシティ・サーチ・プログラム(Velocity Search Program)を有しており、企業向けのサービスを展開している。ビビジモの顧客には、シスコ・システムズ、P&G、米国政府(FirstGovという政府の公式ポータル)が名を連ねている。

また、ビビジモは、このクラスタリング技術をクラスティ(Clusty)という名で消費者向けにも提供している。ニュース、ブログ、ショッピングサイトなどの複数の情報を横断的に検索(メタ検索)し、その結果を自動的に分類・整理して提供している。既に2005年から日本語版(Clusty.jp)も公開が進んでいる。

さらに、クラスティの新たな試みが、クラスティラボ(Clusty Labs)に公開されている。一つは、2007年1月に発表されたもので、任天堂ウィー(Wii)向けに最適化された検索サービス(Clusty Wii)である。例えば、”Search”ボタンを押さなくとも、”OK”ボタンを押せばいいというような工夫がされている。もう一つは、クラスティの検索結果をタグ・クラウドとして見せるクラスティ・クラウド(Clusty Cloud)だ。検索結果としてよく出てくる用語を、ソーシャルブックマークのタグの集まりのように、よく出てくる用語ほど大きなフォントで表示されるという工夫がなされている。

このように、検索サービスは、検索技術自体の進化に加えて、検索結果をどう見せるかというユーザー・インターフェイス技術の進化も同時に起こっている。将来の検索サービスの姿は、これらの技術が融合されたものになるのかもしれない。

コメントを残す